改名の手続きの流れ

まず、家庭裁判所に改名の申立てをした場合の手続きの流れについては、こちらをご参考下さい。
氏・名の変更のお手続きの流れ

家庭裁判所の方から改名の申立てを取り下げるように促された場合、申立は取り下げた方がいいのでしょうか?却下された場合はどうなるのでしょうか?

改名の申立ての取下げとは?

家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。

家事事件手続法 第八十二条

裁判所に名前の変更の申立をした後に、裁判官、参与官から申立てを取下げすることを進められることがあります。
そもそも、申立ての取下げとは、何のために行うのでしょうか?

取下げを行う主な目的として、3つあります。

 

①申立て後に、事情が変わってしまった場合

 

②却下の審判を受けなくてすむ

 

③裁判所側の手続きが少なく済む

 

①申立て後に、事情が変わってしまった場合

例えば、赤ちゃんの名前をAからBへ変更する改名の申立てをした後に、赤ちゃんの名前をやっぱりBではなくCにしたいなど、申立て時から事情が変わってしまった場合に取下げをすることがあります。

この場合、取下げをせずにBへ変更することの許可がでた後に、Cへ変更することは厳しいため、取り下げる必要があります。

②却下の審判を受けなくてすむ

家庭裁判手続きの場合、民事訴訟手続きと異なり、却下の判決を受けても、同一理由の申立てをすることができます。
(専門用語で既判力と言いますが、家庭裁判所の手続きには既判力がありません。)

ただし、同一理由の申立てができるからと言って、認められるかというと「却下」の審判を受けている以上、認められにくくなります。

そして、その「却下」の記録は5年間残ります。

取下げをしても、家庭裁判所で受け付けられたことなどの記録が5年間残りますが、「却下」の記録は残りません。

つまり、却下された場合、時期を置いて再度申立てをしても、その内容を審理する裁判官は、過去に「却下」の審判が下された内容として審理する一方、取下げをした場合、「却下」の審判は下されていない申立として審理されます。

裁判官としては、過去に「却下」が出ている事実は、審理をするうえで影響を与えるのではないでしょうか。

最高裁判所 (1)-min
標準文書保存期間基準(保存期間表)(千葉家庭裁判所一宮支部)

③裁判所側の手続きが少なく済む

裁判所の方が取下げを促す理由として、裁判官が却下の審判書を作成せずに済むという点があります。そのため、認められにくいと判断している内容については、裁判所は取り下げるように促されます。
裁判所が取下げを促す理由は、裁判所側の労力を少なく済ませるためです。

取下げをした後の対応

改名の申立てを取下げした場合に、再度改名を希望する場合、どのような対応をするのが効果的なのでしょうか。

取下げ後の対応

①住所を変更し、別の家庭裁判所へ申立をする
②通称の実績を積み、申立をする
③新たな理由、証拠等を踏まえて申立をする

①住所を変更し、別の家庭裁判所へ申立をする

氏・名前の変更の申立は、家庭裁判所の裁判官、参与官によって判断は変わってきます。ほとんど同じ内容の氏・名前の変更の申立であっても、申立てをする家庭裁判所によっては、認められる家庭裁判所もあれば、認めれない家庭裁判所もあります。
担当をする裁判官、参与官を変えて、再度申立をすることも一つの方法です。

②通称の実績を積み、申立をする

この方法が、改名の申立てを取下げした後取られる、一番多い対策ではないでしょうか?
通称名を理由に申立てをした場合であっても、通称の実績が短く取下げを進められる場合があります。
また他の申立理由(僧侶、性同一性障害等)で申し立てをされた方が、通称実績を作ってから、再度申立てをする場合があります。

③新たな理由、証拠等を踏まえて申立をする

例えば、在家出家で副業的に僧侶として活動をされていた方が、主な活動が僧侶としての活動となった場合や、性同一性障害と思われる方が最初の申立てでは性同一性障害であることの診断書を提出できなかった場合に、取下げ後診断書が取得できた場合など、新たな理由、証拠資料などができた場合は、それを理由に再度の申立をすることが可能です。

却下された場合どうしたらいいの?

それでは、取下げではなく、改名の申立てが却下されてしまった場合、どのような対応が可能なのでしょうか。

改名の申立てが却下された場合、その審判に対して、即時抗告という不服申し立てをすることができます。

即時抗告とは?

即時抗告とは、氏・名の変更の申立をし、家庭裁判所の審判に不服がある場合に、高等裁判所に審理してもらう手続きの事をいいます。

即時抗告をし、高等裁判所より申立人の理由が正当と判断されれば、原則、家庭裁判所の審判が取り消され、氏・名の変更が許可されます。

即時抗告は、家庭裁判所の審判の告知を受けた日から、2週間以内であれば申立てをすることが可能であり、2週間が経過するとその審判は確定します。
即時抗告をされる方は、申立を早めにする必要があることだけは押さえておきましょう。

不服申立ての方法

それでは即時抗告はどのように行っていくのでしょうか?

申立先

即時抗告の申立ては、審判をした家庭裁判所へ申立をします。
審判をした家庭裁判所で一度明らかな誤り等がないか確認をし、それでも審判した結果が変更されない場合は、管轄の高等裁判所で審理されます。

申立費用・料金

即時抗告をするのに必要な費用は、次の通りです。

・収入印紙1200円
・郵便切手1500円前後
(郵便切手の正確な金額は管轄の家庭裁判所にご確認ください。)

即時抗告と言っても、氏・名の変更の申立と同様にそれほど費用は必要ではないので、却下されてしまった方は、即時抗告をされてもいいと思います。

手続きにかかる期間

即時抗告をした場合に、申立てをしてから結果がでるまでにかかる審理期間は、おおよそ1~2か月ほどの期間です。

必要な書類

必要となってくる書類としては、主に抗告状です。
最初に家庭裁判所に提出をした証拠資料、記録はすべて高等裁判所に送られるので、再度戸籍謄本等を提出する必要はありません。

・抗告状

こちらから抗告状のひな型をダウンロードすることができます。
必要な方はご利用ください。

即時抗告も認められなかった場合

即時抗告も認められなかった場合は、残念ですが、格別の事情の変化がなければ、通称の実績などを積まれてから再度申立をするしかありません。

同じ理由で何度も申立てをすることは可能?

改名の申立てをして、取下、却下をされた後、再度、同じような内容で改名の申立てをすることは可能なのでしょうか?

結論から言えば、申立自体は可能ですが、認められる可能性は低いです。
過去の判例において、却下されたにも関わらず、何度も同じ申立てをし、申立の濫用とされた判例があります。

改名申立が却下された場合に、その審判確定時に近接し、または同一事由に基づき新たな証拠資料の補充もしないで再度の申立をすることは申立権の濫用として許されない。
改名の申立却下の審判が確定した場合にその確定した時期に近接し、または即時抗告期間中でいまだ申立却下の審判が確定しない間に、あるいはいまだ許可、却下いずれの審判もなされない間に、前の申立におけると同一の事由で、しかもその事由を立証するに足りる新たな証拠資料を補充することもなく、再度同一の申立をなすがごときことはいずれも申立権の濫用として許されない。
改名許可事件の申立却下の審判が確定しても、既判力を有せず、申立人は再度同一の申立てをすることができる。
改名許可事件の申立却下の審判に対し即時抗告の申立てをしないで、これと近接して前の申立てと同一の事由で再度の申立てをすることは、申立権の濫用として許されない。
改名許可事件の申立却下の審判に対し、即時抗告をしないで、却下の日に近接して、前の申立と同一の事由で、再度の申立をすることは、申立権の濫用である。

昭和41年2月23日/東京家庭裁判所/審判/昭和40年(家)10171号/昭和40年(家)12755号

まとめ

改名の申立てをし、家庭裁判所から取り下げの催促などをされると不安になってしまいますよね。
取り下げをした方がいいのか、そのまま審判してもらうかは、しっかりとそれぞれの特徴をおさえて選択したいですね。

この記事はそのような方に一つでも参考になればと思います。
長文ですが、お読みいただきありがとうございました。

 

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