・外国人と離婚したので苗字を変更したい
・離婚後、そのままにしていた苗字を元に戻したい
・日本に帰国するので日本の姓にしたい

国際離婚された方が、苗字を変えられたい理由は様々かと思います。

それでは、国際離婚された場合、苗字の変更手続きはどうしたらいいのでしょうか?

この記事は、改名専門の司法書士が「国際離婚した場合の旧姓の変更手続き」を説明しております。

国際離婚後、苗字を変更するには?

国際離婚で苗字を変更する場合、離婚届の提出に加えて、次の手続きが必要となります。

苗字をそのままにする場合の手続き

手続きは不要

苗字を旧姓に戻す場合の手続き

①:結婚6カ月以内に外国人配偶者の苗字に変更した人が、離婚後3か月以内に旧姓に戻す場合
…役所の手続きのみで変更可能

②:①の人以外が旧姓に戻す場合
…役所+家庭裁判所の手続きが必要

国際離婚の際に苗字をそのままにしておく場合、特に手続きは必要ありませんが、元の苗字に戻すには離婚届だけでは足りず、別途届出が必要となります

それでは旧姓に戻す場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか?

上記の
①役所の手続きのみで変更できる場合
②家庭裁判所の手続きも必要になる場合
それぞれ解説します。

旧姓に戻す手続き

①役所の手続きのみで変更できる場合

市役所

国際結婚して6カ月以内に外国人配偶者の苗字に変更した人は、離婚してから3か月以内であれば下の届出を役所に提出することで旧姓に戻すことができます。
下の届出は離婚届と一緒に提出することも可能です。※離婚後3か月を経過した場合、旧姓に戻すには家庭裁判所の許可が必要となります。

国際離婚氏の変更届

役所にも「外国人との離婚による氏の変更届」はございますが、事前に記入されたい方などは、こちらからひな形をダウンロード下さい。

②家庭裁判所の許可が必要な場合

家庭裁判所

次のような人が旧姓に戻す場合、家庭裁判所の許可が必要となります。

家庭裁判所の許可が必要な人

①結婚6カ月以降に外国人配偶者の苗字に変更した人が旧姓に戻す場合
②結婚6カ月以内に外国人配偶者の苗字に変更した人が離婚後3か月経過して旧姓に戻す場合

①の場合で旧姓に戻す場合、例えそれが離婚から3カ月以内であったとしても、家庭裁判所の許可が必要となります。②についても離婚から3か月を経過した場合、家庭裁判所の許可が必要となります。これは婚姻状態の解消が配偶者の死亡であったとしても3か月を経過していた場合、家庭裁判所の許可が必要となります。

それでは家庭裁判所はどうすれば許可してくれるのでしょうか?

許可の条件は?

ポイント

家庭裁判所の許可を得るには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか?
条文上には次のような記載があります。

「氏の変更」 戸籍法第107条

やむを得ない事由
によって氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

つまり、苗字を変更するには家庭裁判所から「やむを得ない事由」があると判断される必要があります

※家庭裁判所は旧姓への変更について「やむを得ない事由」を緩やかにとらえる傾向にありますが、理由によっては却下されますのでご注意下さい。

どこで行うの?

苗字を改名する「氏の変更許可申立」は、住所地を管轄する家庭裁判所で行います

ご自身が申し立てする家庭裁判所がどこになるかは「家庭裁判所の管轄一覧」をご参考下さい。

費用・料金は?

家庭裁判所の「氏の変更申立」にかかる費用・料金は次の通りです。

改名手続きの実費

1.収入印紙800円 
2.郵便切手200円~1500円 
3.変更許可後 収入印紙150円

※家庭裁判所での実費です。交通費、郵送費、戸籍謄本代などは除いております。

申し立てをする裁判所によって郵便切手の金額は異なります。
郵便切手の金額は「【全国版】家庭裁判所での郵便切手の金額一覧」ご参考下さい。

必要な書類は?

書類
必要書類

申立書 
戸籍謄本
収入印紙・郵便切手
同意書(同じ戸籍に15歳以上の子どもがいる場合)

①申立書
氏申立書記載例

こちらは家庭裁判所にあげられている申立書の記載例です。
氏の変更申立書はこちらからダウンロードすることもできます。
申立書の1P目については、そのまま記載すれば問題ありませんが、2P目の申立理由については慎重に作成する必要があります。

②戸籍謄本

戸籍謄本は、発行後3か月以内のものが必要です。
必要となる戸籍謄本の範囲は次の通りです。

旧姓に変更する場合

旧姓時から現在までの戸籍謄本

※最低でも次の戸籍の取得が必要となります。
① 現在の戸籍謄本
② 婚姻前(旧姓時)の除籍謄本
※①②の期間中転籍されていた場合、更にその間の謄本の取得も必要となります。

離婚、結婚などによって本籍地を変更している場合は、それぞれの役所へ請求する必要があります。
本籍地が遠方の方は、戸籍謄本を郵送で取得することも可能です。
「○○役所 戸籍 郵送」とインターネットで検索して頂ければ、請求方法が出てきます。
郵送で請求するのが難しい方は、氏名変更相談センターで代行取得することが可能です。

※同意書
氏変更 同意書
⇧クリックして拡大

同じ戸籍に15歳以上の子供がいる場合、その子供の同意書が必要となります。この同意書は筆頭者が旧姓に変更することで子供の苗字も変わることについての同意書となります。
15歳未満の子供や、結婚や分籍届などで、すでに親の戸籍から出ている場合、同意書は不要です。

期間・日数は?

氏の変更流れ
名古屋家庭裁判所HPより

こちらの内容は、名古屋家庭裁判所の手続きの目安期間です
お住いの管轄の裁判所で、手続きの期間に違いはあります

家庭裁判所の手続き期間

一般的な期間:25日~60日
1.家庭裁判所へ申立準備:1日~7日 ※①
2.家庭裁判所の手続き:7日~30日 ※②
3.変更許可の審判確定:14日 ※③
4.役所の手続き:1日~7日 ※④

※①戸籍謄本の取得、申立書の作成等
※②照会書の提出、審問、審判書の通知等
※③姓(氏) を変更する場合、許可が降りてから14日を経過しなければ変更できません。
※④戸籍謄本の取得、氏・名の変更届の提出等

詳細な流れは「完全版・改名手続きの流れ」「名前変更許可後の手続き一覧」もご参照ください。

親が苗字を変更したら、子供の戸籍と苗字はどうなるの?

親が苗字を変更した場合、子供の苗字と戸籍はどうなるのでしょうか?

苗字

親が苗字をそのままにする場合

日本の親が外国人配偶者の苗字をそのまま名乗る場合やそもそも結婚の際に苗字を変更しておらず、離婚後も苗字を変更しない場合、子供の苗字もそのままとなります。
日本の親は外国人配偶者の苗字をそのまま名乗り、子供のみ苗字を親の旧姓に変更することも可能ですが、一定の条件が必要となってきます。

親が役所の手続きのみで旧姓に変更する場合

親が役所の手続きのみで旧姓に戻す場合、親の戸籍は新しくできますが、子供の苗字は自動的には変更されず子供は元の戸籍に残ったままとなります。※親は国際離婚の場合、元いた親の戸籍に戻ることはできません。

戸籍 子の氏の変更 新戸籍
親の戸籍に入籍した後の子供の戸籍の記載

旧姓に戻した親と同じ苗字を名乗るには、子供も親の戸籍に入る手続きが別途必要になります
子供が旧姓に戻した親の戸籍に入る方法は「子の氏の変更申し立て」をご参考下さい。

家庭裁判所の手続きで苗字を変更する場合

改名後戸籍 苗字
家庭裁判所の許可により苗字を変更した戸籍

離婚後、家庭裁判所の手続きにより苗字を旧姓や変更した場合同じ戸籍にいる全員の苗字が自動的に変更されます
これは子供が成人しているかどうかに関わらず、同じ戸籍に子供がいれば子供の苗字も変更されます。

それぞれの身分事項には何も記載されず、戸籍事項に「氏の変更」した旨が記載されます。この「氏の変更」の事実は転籍などにより新しい戸籍ができたとしても引き継がれる内容です。

離婚した際の戸籍謄本の見本を確認されたい方は「離婚後の戸籍謄本を見本で解説」をご参考下さい。

子供名前を変更するには?

離婚後、子供の名前を離婚相手が決めたため子供の名前を変更したい、というご相談を頂きます。特に生後間もない赤ちゃんなどであれば改名できる可能性は十分にあります。
変更する方は、「赤ちゃんの名前を確実に改名する方法」「キラキラネームの改名方法」などご参考下さい。

苗字変更後の手続きは?

役所での苗字変更が完了し、戸籍や住民票の氏が変更された後の手続きにはどのようなものがあるのでしょうか?

改名後の手続き一例

1.マイナンバーの変更
2.健康保険、年金の変更
3.パスポートの変更
4.印鑑登録の変更
5.運転免許証の変更
6.銀行等の口座名義の変更
7.クレジットカード等の名義変更
8.不動産登記の変更
9.生命保険、医療保険等の変更
10.車検証、自賠責保険等の変更

それぞれ詳しい手続きは、「名前変更許可後の手続き」の記事もご参考下さい。

まとめ

国際離婚した後の旧姓に戻す手続きについて記載しました。

国際離婚は日本人同士の離婚と手続きが少し異なってきます。

弊所では海外在住の方の苗字の変更手続きを対応しております。日本に帰国が難しい方などはお気軽にご相談下さい。

 

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