親の戸籍から抜けるためには「分籍」という届出を役所に提出する必要があります。

それでは、分籍はどのように手続きを行うのでしょうか?

分籍のメリットデメリットや分籍後の戸籍謄本の見本を交えて説明します。

次のような記事もございます。ご参考下さい。
分籍届の書き方を見本付きで解説
転籍届とは?手続きの方法を詳しく解説
分籍や転籍など様々な手続き後の戸籍の見本

分籍とは?

分籍とは「今いる戸籍から抜けて、届出人を筆頭者とした新戸籍を作る手続き」の事をいいます

基本的には、子どもが親の戸籍から抜け出ていく際に使用されます。

転籍との違いは?

転籍とは「戸籍の本籍地を移転する手続き」をいいます
分籍と転籍のそれぞれの違いをざっくり説明しますと次の通りです。

分籍と転籍の違い

①手続きをする人
分籍…筆頭者(及び配偶者)以外の18歳以上の方
転籍…筆頭者(及び配偶者)

②手続きの目的
分籍…今いる戸籍から抜けて新しい戸籍を作る
転籍…本籍地を移転する

転籍については「転籍とは?本籍地の変更手続きを解説」もご参考下さい。

分籍後、転籍後の戸籍の内容は「戸籍謄本の見本一覧」をご参考下さい。

どんなときに分籍届をするの?

分籍届は、次のようなケースで利用されることが多いです。

分籍届をするケース

①分籍届をする方だけが転籍をしたい場合
②分籍届をする方だけが苗字を変更したい場合
③子どもが親の戸籍から抜けたい場合

①②転籍や苗字を変更すると、戸籍にいる全員の本籍地、苗字が変更されるので、戸籍にいる一人だけが、本籍地や苗字を変更したい場合、その方が分籍届をした後に、転籍や苗字を変更していくことになります。

③子どもが親と縁を切りたいなどの理由で、親の戸籍から出ていく場合などに、分籍届をする場合があります。

ただし、分籍届をしたからといって、親との関係が無くなるわけではありません。
それでは分籍届にはどうのような効果があるのでしょうか?

分籍届をするとどうなるの?

分籍をした場合、どのようなことが起こるのでしょうか?

分籍届をすると

①今いる戸籍から届出人が抜け出す(除籍される)
②届出人が筆頭者となった新戸籍が作成される

①今いる戸籍から届出人が抜け出す(除籍される)

分籍して出て行った後の子供の戸籍(見本)
戸籍に記載される内容

身分事項:分籍
【分籍日】令和●年●●月●●日
【新本籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)

※本籍地と違う役所へ届出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●日
【受理者】■■市長

分籍をすると元いた戸籍には上記のような内容が記載され、分籍した人の名前の横に「除籍」と記載されます。
また分籍届出後は、元の戸籍には戻れないので、その点注意しましょう。

②届出人が筆頭者となった新戸籍が作成される

分籍して新しく作られた戸籍(見本)
分籍後の戸籍の記載

身分事項:分籍
【分籍日】令和●年●●月●●日
【従前戸籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)

※分籍後の本籍地と違う役所へ届出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●日
【受理者】■■市長

分籍をすると分籍した人が筆頭者となった新しい戸籍ができあがります。
分籍後は、戸籍に記載されるような出来事(結婚、離婚など)が発生した場合は、分籍前の戸籍にはその事実は記載されず、新しい分籍後の戸籍に記載されます。

分籍すると親子の関係は切れるの?

分籍届をした場合、あくまで分籍届をした方の新戸籍ができるだけであって、親子の関係に何か変更があるわけではありません。

なので、分籍届をしても、親子の相続関係に法律的な影響は何もありません
親が亡くなった際、分籍した子は相続人となります。

分籍届のメリットデメリット

分籍届を提出しても親子の関係が無くなるなどの法的な効果は発生しません。
ただし戸籍が別々になることでの次のようなメリットデメリットがあります。

分籍届のメリット

結婚、離婚、名前の改名などをしても親の戸籍には記載されない

分籍届をすることで分籍した人が筆頭者となる戸籍ができます。
そのため分籍後は、戸籍に記載されるような身分事項(結婚、離婚、名の変更、養子縁組など)が発生をしても、親の戸籍には記載されず、新しい戸籍にのみ記載されます。

本籍地を自由に決めることができる

分籍届をする際、分籍後の本籍地は自由に決めることができます。
そのため分籍後の本籍地を最寄りの役所にすることで戸籍謄本の請求などがしやすくなります。

親と違う苗字を名乗る事ができる

離婚や家庭裁判所の手続きにより筆頭者が苗字を変更すると、戸籍にいる全員の苗字も変更後の筆頭者の苗字となります。
そのため分籍をすることで親の離婚後、親のみ旧姓に戻り、子供は結婚時の苗字を名乗り続けることなどができます。

分籍届のデメリット

親子で戸籍謄本を請求する際、それぞれ請求する必要がある

分籍をすると親子で戸籍が別々になりますので、相続手続きなど親子の戸籍が必要となる際に、それぞれの本籍地に戸籍を請求する必要が生じます。

親の戸籍に戻れなくなる

子供が分籍により親の戸籍から抜けると、子供は原則、元の親の戸籍には戻ることはできなくなります。ただし特別な事情など要件を満たすことで「子の氏の変更許可申立」をすることで親の戸籍に戻れる場合もございます。

分籍届の手続きについて

それでは、分籍届には、どのような手続きが必要なのでしょうか?

手続きができる人

分籍届ができるのは、次の人になります。

分籍届ができる人

・18歳以上
・筆頭者及び配偶者以外の人

分籍届出ができるのは、18歳以上の人になります。

家庭裁判所において、苗字・名前の改名手続きは15歳以上であれば、その15歳以上の人が単独で改名手続きをすることができますが、分籍届は18歳以上からでなければできません。

ですので、15歳以上の方が自分だけ苗字を変更したい場合は、18歳になってからでなければ手続きをすることができません。

提出先

分籍届の提出先は、届出人の本籍地、新本籍地または所在地のうち、いずれかの市区町村役場となります。

必要な書類がそろっていれば、郵送にて提出することも可能です。

必要書類

分籍届で必要となる書類は次のとおりです。

分籍届に必要な書類

①分籍届
②戸籍謄本
③認印

分籍届
記載例 分籍

分籍届はこちらからダウンロードすることができます。
今から分籍届を提出される方はご活用下さい。
分籍届の「新しい本籍」の箇所は日本国内であればどこの場所でも本籍地とすることができますし、現在の本籍地でも問題ありません。

戸籍謄本

分籍をする場合、届人の方が在籍している戸籍謄本が必要となります。

ただし、本籍地の市区町村役所で手続きをする場合は、戸籍謄本は必要ありません。

認印

市役所に分籍届を持参する際、分籍届に押印した認印をお持ちください。

万が一、届出に誤記などがあった場合は、訂正をする際に分籍届に押印した印鑑で訂正印を押印する必要があります。

分籍届の書き方は「分籍届の書き方を見本付きで解説」をご参考下さい。

まとめ

分籍届について、メリットデメリットや注意点などをまとめさせていただきました。

司法書士事務所エベレストでは、分籍届の代行手続きや戸籍の改名業務を行っております。
そのようなお手続きをご希望の方はお気軽に司法書士事務所エベレストまでご相談ください。

 

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